【アレクサンドル・カントロフ】の魅力
アレクサンドル・カントロフ

2024年パリの夏季オリンピックの開会式で、雨の中の演奏で話題になった、今ヨーロッパで一番熱いピアニスト。
社内でカントロフ座談会で話し合いして、
音楽通にこそ聴いてほしいピアニスト
という推しポイントにたどり着きました。
理由その①
プログラムが独特!誰にも媚びない、カントロフならではの選曲!
ハッキリ申し上げますが、今回のプログラム、やや暗く重めです。そして知らない曲が多い!
でも、だからこそ面白い。
カントロフ本人が「プログラムはまずメインの曲を決め、そこから橋を架けるように他の作品へとつなげていく」とインタビューで話していますが、今回のプログラムのメインはメトネルでしょうか?
音大を卒業された方でも馴染みの薄い作曲家ですよね。
メトネルは、ラフマニノフやスクリャービンと同時代を生きたロシアの作曲家。ラフマニノフとは曲を献呈し合うほど尊敬し合っていました。
今回の「ピアノ・ソナタ第1番」は、冒頭の哀愁を帯びた伸びやかな旋律が、頭から離れません。
このメロディーが形を変えながら展開し、最後には力強いクライマックスとなって再登場!
あの旋律が、こんなふうに姿を変えるのか……!
何度も何度も聴きたくなってしまう、中毒性のある作品です。
そのメトネルが深く敬愛していたというのがベートーヴェン。
今回、そのベートーヴェンの最後のソナタ(32番)をプログラムに持ってきたというのが、メトネルからベートーヴェンへ大きな「橋」をかけたということでしょうか。
ピアノを専門に学んできた人あるあるで、
「次はこの曲(32番)を弾きたいです!」
……と易々と先生に言えません。
それだけ内容が深い作品で、簡単に手を出してはいけない領域の曲。
人生の終わりにベートーヴェンが辿り着いた、深い内省と、苦悩さえも包み込むような音楽の世界を、是非カントロフの演奏で体感してほしいです。
そして、アルカンの「海辺の狂女の歌」。
左手が描くのは、暗く不気味な海。
その海辺で、右手のメロディーを狂女が口ずさんでる……と想像して聴いてみてください。ものすごく怖いです。
ショパンの「前奏曲 嬰ハ短調 op.45」は、まるで夢の中にいるような浮遊感ー。
夢心地にさせておいて、その直後にずどーん!アルカンの「狂女」で突き落とされます。
……この選曲、正気の沙汰ではありません!
アルカンも初めて聴く方が多いのではないでしょうか。実はショパンと親友だったと言われています。
ここでも今回のプログラムの繋がりを感じますね。
カントロフがプログラムに「橋をかける」と語っているように、クラシック音楽は一つの大きな河のように繋がっていて、一つ一つの曲ももちろん魅力的ですが、続けて聴くのもまた、オモシロいです。
今回のプログラムは新しい発見に満ちています!
ぜひカントロフが架けた「橋」を辿りながら、音楽に没入してください!

理由その②
22歳でチャイコフスキー国際コンクール優勝!
そして全部門でのグランプリ獲得!
カントロフの名が世界に轟いたのは2019年。
世界三大コンクールの一つ「チャイコフスキー国際コンクール」で、弱冠22歳でピアノ部門の第1位に輝いただけでなく、全部門の中からたった一人選ばれる「グランプリ」までも手中に収めました。
これはコンクール史上でも数えるほどしかいない、とてつもない快挙です!
22歳にして、あの深い音楽性ー
「一体、人生何回目…?」と溜息をついてしまうほどの成熟ぶりですが、そのルーツを辿ると、彼の類まれなる育ちが見えてきます。
カントロフのお父様は、ヴァイオリンの巨匠であり名指揮者としても名高い、あのジャン=ジャック・カントロフ。
そしてお母様もヴァイオリニストという、まさに音楽界のサラブレッドとして生まれました。
本人もインタビューで、「幼い頃から絶えず両親から多くのものを受け取ってきました。僕は二人の演奏を聴くことが大好きでしたから。」と語っているように、ご両親から多大なる影響を受け、 昔からものすごく才能のある子だったそうです。
「天才」という言葉で片付けるのは簡単ですが、彼の場合は、最高の環境で音楽を吸収し、それを自分だけの表現へと昇華させてきたからこそ、今の「年齢を超越した圧倒的な説得力」があるのでしょう。
理由その③
最初の一音で内臓を掴まれるほどの、鮮烈な音
「背中がぞくっとするような、内臓をぎゅーっと掴まれるような感覚を味わいました」
―音楽評論家にそう言わしめるほど、彼の音は特別です。
深い音をごうごうと鳴らしあうような、凄まじい響き。
今回のプログラムは特に重厚な楽曲が揃っており、それがダイレクトに身体に響き渡り、心を鷲掴みにされることでしょう。
「内臓を掴まれる」ほどとは、一体どんな音なのでしょうか?ワクワクが止まりません!
生演奏でしか味わえないこの「衝撃」を、ぜひ会場で体感してください!
